甘い魔法―先生とあたしの恋―
「ううん。……兄弟がいっぱいいて羨ましい。
あたし一人っ子だし」
「……そっか」
「あ……ごめんなさい。
なんか……、羨ましいなんて軽々しく言っちゃダメだったよね……ごめん」
うっかり軽い気持ちで口にしてしまった言葉が先生を傷つけてしまったような気がして、あたしは慌てて先生を見上げようとした。
……でも、それは抱き締める力を強めた先生の腕に止められる。
「全然気にする必要なんかねぇし。……ありがとな」
急にきつく抱き締められて……どうする事も出来ずに、先生の胸にまたすり寄る。
トクトク、規則的に刻む先生の鼓動が、すごく心地よくて……。
だけど、消えない不安に、ゆっくりと目を開ける。
決して、目を逸らす事のできない事実に―――……
「ねぇ……先生」
「ん?」
「もし……、もしも、さ……」
『バレたら―――……』
言葉にする事に不安を覚えて詰まった声に、先生はあたしの髪を撫でながらゆっくりとした口調で話しだした。