甘い魔法―先生とあたしの恋―
「あと、無理とかはすんな。
困った事とか、心配な事があったらすぐに相談しろ」
「うん……」
「確かに、普通の恋人同士にはなれねぇけど、そういうところは絶対我慢すんな。
大事な奴がつらいのに、それに気付けないっていうのは、すっげぇ嫌だから。
おまえの事だったら、一緒に考えたいし、二人の事だったら尚更二人で悩みたい」
「……っ…」
止まりそうもない涙に、先生の胸にしがみつく。
全然厳しくない決まり事に、十分すぎるほどの先生の言葉。
溢れ出した感情が、留まる事なく先生への気持ちを大きくさせて、どうにかなりそうだった。
張り裂けそうな想いに、抱き締める腕に力を込めると、先生はあたしの頭を撫でて……困ったような笑みを落とす。
「おまえさ……裸でそんなに抱きつかれると、抑えが利かねぇんだけど……」
「……っ!」
「そういや、おしおきが残ってたっけ。
期待させたままじゃ悪いし、おしおき代わりにもう一回しとくか」
「やっ……やだ! こんな明るいの、もう絶対やだっ!」
「今更だろ。もう全部見たし、一回も二回も変わらな……泣くなよ。
悪かったって。……優しくするから、な……?」
理由を恥ずかしさに変えた涙が浮かぶ瞳で先生を睨むと、先生は優しく微笑んで、そのままあたしにキスをした。
飴のせいでまだほのかに甘いキスが……
あたしの抵抗を奪っていく。
依存性の強い薬は……
際限を知らずに、あたしの気持ちを大きくしていった。
性質が悪くて、すごく甘い。
あたしと先生だけの秘密の効能が、二人の間で混じり合う。