甘い魔法―先生とあたしの恋―
諒子が少し重そうにそのカゴをレジに出したのを見てから、ぐるっと店内を見回して……その視線をそのままお店の外へと向ける。
大きなガラス越しに外を眺めていた時……目に飛び込んできた光景に、あたしの身体が凍りついた。
「……―――― 啓、太」
お店の前を横切る啓太と……知らない女の子。
仲良さそうに腕を組んで歩く2人に……完全に身体が冷たくなっていくのを感じた。
何度も、何度も、啓太の浮気の事は人から聞いてた。
だけど……
自分の目で見たのは、今日が初めてで。
あまりのショックに、動く事が出来ない。
「おまたせ」
急に諒子に肩を叩かれて、あたしはびくんと身体を竦ませた。
「実姫?」
「諒子……」
やっと出した声で呼ぶと、諒子は不思議そうにあたしを見て……あたしが再び移した視線の先を目で追う。
まだそんなに離れていない啓太達の姿に、諒子も気付いたみたいで。
その視線はすぐにあたしへと戻された。