甘い魔法―先生とあたしの恋―
「……もしかして、したいとか?
俺はいいけど、おまえは明日きついんじゃねぇ?
一日三回って……いてっ、叩くなよ」
抱き締めた腕で背中を叩くと、先生はふっと笑みを零して笑った。
……でも、その笑みがあたしの部屋を見渡した途端に、消える。
「……部屋、散らかってねぇ?」
「え、ああ……だって、クローゼット開けなくて済むようにチェスト出したら、なんかスペースなくなっちゃって……」
あたしの言葉に、先生は面倒くさそうに頭の後ろを掻く。
そして。
信じられない事を言い出した。
「仕方ねぇから手伝ってやるよ。片付け」
「え……でも、そこまで散らかってない……」
「ほら、早くやるぞ」
「え、今?!」
「当たり前だろ。
こういうのは後回しにするとなかなかやらないんだよ。
特におまえはそういう奴だし」
「……本当、神経質」
「なんか言ったか?」
先生の苦笑いに、あたしはふるふると首を振る。
いつもの騒がしさを取り戻した寮が、あたしの部屋の掃除にギシギシ音を立てた。