甘い魔法―先生とあたしの恋―
「おめでとー!!」
新学期が始まって、しばらく過ぎた頃。
下駄箱で一緒になった諒子が、あたしを見るなり元気に言った。
「……ありがと」
「17歳かー……今日は何か特別な予定でもあるの?」
先生との事を言いたいのか、諒子がニヤニヤしながらあたしを覗き込む。
9月12日。
今日は、あたしの17回目の誕生日だった。
「別に……っていうか覚えてないみたいだし。
言ったかどうかも微妙だけど。
今朝だって、朝ごはん一緒になったけど、いつもと変わらなかったし」
別に不貞腐れてるわけじゃないけど、少しだけ面白くない気持ちでそう言うと、諒子があたしの肩をポンと叩いた。
「まぁ、ヨリ戻してからまだ少ししか経ってないしね。
実姫彼だって大変なんだよ。ほら、校長も代わったし」
「そうだね」
9月から、突然校長が代わった。
今までの校長は体調不良って事で辞任したんだけど……。
その真相は謎のままだった。
増毛の事を気にしてって噂もあれば、裏で何かやってたとか変な噂も出てきて。
……別にどうでもいいけど。