甘い魔法―先生とあたしの恋―
「そうか」
去年、途切れてしまったように感じてたお父さんの愛情。
別に、お父さんの愛情の大きさを、もので計りたいわけじゃない。
だけど、あまりに何もなかったから……
自覚が欲しかった。
自信が欲しかった。
少しは、大切にされてるって。
少しは、考えてくれてるんだって……
ずっと欲しかったその事実を伝えてくれる2つのテディベアが、あたしの腕の中で窮屈そうに微笑んでいた。
『お母さんの事は、もう少し待って欲しい。
時間をかけて話し合いたいと思ってるから。
俺のせいでこんな事になったけど、帰ってきてもらえるように最善の努力をする。
……待っててくれるか?』
別れ際、振り向いて言ったお父さんの言葉を思い出しながら、部屋にテディベアを飾った。
一か月くらい前、先生と一緒に掃除をした部屋は、まだそのままの状態を保っていた。
お父さんとこんな関係になれたのも
今を幸せだなんて思えるのも……全部先生がいてくれるから、そんな気がした。
恋愛感情はもちろん、大きな感謝の気持ちが湧き上がる。