甘い魔法―先生とあたしの恋―
「関係ないって……あたし、啓太の彼女じゃないの……?」
不安からか、寂しさからか……いつもなら我慢する言葉が口をついて。
その言葉を聞いた啓太の顔付きが変わっていく。
こんな、啓太を煩わせるような事を言えば、何をされるかぐらい分かってた。
だけど……
いくら啓太が煩わしく思ったって、あたしにとってはすごく大事な事で……。
一番、聞きたい事で……。
『あたしの事好き?』
なんでそんな事すら聞けないんだろう……。
睨むような目であたしを捕らえた啓太が、途中まで下りた階段を上がってくる。
その表情は明らかに面倒くさそうで……あたしは唇を噛み締めた。
「だったらなに? ……ああ、最近かまってないから寂しいんだろ」
「え……」
絶対に叩かれると思っていたあたしは、啓太の言葉に一瞬言葉を失った。
啓太は目の前までくると、少しだけ笑みを作って……あたしの肩に手を置いた。
「やっ! ……っ」
瞬間的に、殴られるって考えが頭を過ぎって、身体が勝手に大きく竦む。
「……」
「……?」
でも……、あたしの頬を痛みだとか衝撃が走る事はなくて。
あたしは咄嗟に瞑っていた目をそっと開ける。