【短編】Horoscope*Daring〜星占いの恋人〜


厳しい物言いに、ビクッと肩が上がるのが、自分でもわかって。

琉聖君のブレザーの裾を握っていた手の力が、緩んでいた。

僅かに、握るというよりも触れているだけのようなその手を、琉聖君は勢いよく振り払って。


「占いも、程々にした方がいいんじゃない?」


冷たい視線と声だけを残して、一人スタスタと歩き出し。

その後ろ姿は、次第に小さくなっていった。

無言でそれを見つめていることしか出来なかった私は、何とも言えない虚無感さえ感じていて。

ただただ、もう琉聖君の姿の見えなくなったイルミネーションが煌めく通りを、ボンヤリと沈んだ気持ちで視界に入れたままだった。


「お前、……行けよ!?
もしかして、泣くんじゃね!?」

「いやいや、お前が行けばいいじゃん!?」



< 14 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop