【短編】Horoscope*Daring〜星占いの恋人〜
「でも……!!」
「アンタが気にすることじゃない」
そう呟くように答えたあと、一瞥して。
リビングから出ていってしまった琉聖君に、私はオロオロと周囲の皆を見回してしまう。
パチッ…と視線がかち合ったのは、冬威さんのお母さん。
「琉聖は、2階の部屋に行ってるから、大丈夫よ?
……雪の日は、あの子塞ぎ込むのよ。それに……
喧嘩してきちゃったのも、早く帰ってきたのも、雪の日だから、でしょうね」
切なそうな表情で、それでも私に笑いかけてくれるお母さんに。
私はその言葉を理解出来ずに、黙って見つめ返すことしか出来なかった。
「湖都ちゃん?アイツが……琉聖が、俺の紹介したかったヤツで、俺の弟」
「冬威さんの弟……」
「湖都ちゃん、琉聖のことよろしく」
優しく笑う冬威さんは、私が琉聖君を“運命の人”だと思ってることさえ見透かしているようで……
「あ、の……救急箱!!貸してください!!」
琉聖君の傍に行かなきゃ!!
……そう思えてならなくて、私は救急箱を受け取ると同時にギュッと抱き抱えて、2階への階段を足早に昇っていた。