【短編】Horoscope*Daring〜星占いの恋人〜
「……何、」
「琉聖君が私を無理だって言うのは、どうして?
冬威さんが言ってた……『琉聖は、人を寄せ付けようとしない。本当は、誰よりも求めてるのに』……って」
「……………」
「雪の日に貰われてきた、ってこの前教えてくれたのだって、言いたくないことのハズだったのに。
私に教えてくれたのは、それを理由にしてまで私を突き放したかったから……?」
琉聖君の背中を逸らすことなく見つめていても、表情ひとつ見えない後ろ姿は微動だもしない。
いくつもの疑問も、吹き荒ぶ冷たい風に拐われていくだけで、何も答えてくれない。
だけど……
「雪の日に塞ぎ込むくらい気持ちが沈むなら、喧嘩しちゃうくらい荒れるなら……
私が雪の日を楽しい記憶に変えてあげるから、ちゃんと私を見て?
来週のクリスマスの日17時、ココで待ってるから」
握っていた裾を、腕を脱力するように離して。
そこでようやく振り向いた琉聖君に、一度だけ笑いかけてからその脇を通り過ぎて、駅の構内から走り抜けた。
……琉聖君の表情を真っ直ぐに見る勇気が、今はなかったから。
返事も聞かないまま、逃げてしまったんだ。