【短編】Horoscope*Daring〜星占いの恋人〜
待てど暮らせど、琉聖君は来ないまま。
時間ばかりが過ぎていき、だんだんと人も疎らになって……遂には、私一人だけしかいなくなってしまった。
時刻は、22時。
最終電車が来るまでのあと30分ほどで、駅だって閉められちゃうのに……
「フラれちゃった、ってことだよね……」
ベンチに座っていることすら耐えきれなくなって、立ち上がり10センチは積もってしまった雪の上を歩いてみる。
サク、サク……
ブーツのヒールが雪を踏みつけてる音さえ響いて聞こえるくらい、静かな夜。
とてもクリスマスなんて思えないくらいの、寂しさが漂うようにも感じられて。
次第に潤み出した視界を押さえると同時に、私はその場にしゃがみ込んでいた。
腕の中には、綺麗に包装したクリスマスケーキの入った紙袋があって。
もう渡すことも出来ないのに、私は大事に、崩さないように胸に抱いて、涙を溢してしまった。