【短編】Horoscope*Daring〜星占いの恋人〜
「なんで、いんだよ……」
頭上で聞こえてきた声に、耳を疑ってしまう。
これは、夢?
それとも、寒さで可笑しくなってしまった私の幻聴?
疑っては消え、でも淡い期待は膨らんで、顔を上げようとした瞬間。
……腕を引かれて、立ち上がらせられていた。
「正気かっての。こんな真冬に雪まで降ってんのに、何時間も待ってるなんて……
正真正銘のバカか!?」
「琉聖、君……?嘘、本物?」
一方的に怒鳴られてるのに、私は目の前の現実に放心状態で。
ただただ琉聖君を見つめて、夢うつつな言葉を呟いてしまう。
「本物だけど、文句あるかよ!?」
「な、無い!!無いけど、……来てくれて嬉しい」
不貞腐れた表情の琉聖君に、泣き笑いで答える私。
掌で涙を拭いながら見上げて、やっと琉聖君をクリアな視界で捉えることが出来た。
「……っとに、バカだ」
盛大な溜息を吐いて、琉聖君は……
「痛っ!!」
私にデコピンをくらわせて、冬の寒さで倍増した痛みに顔をしかめた私を、……ギュッと抱き締めていたんだ。