十人十色-それぞれの恋- 短編集
俺はなんとか平常心を保って、篠原に言った。
「恵介って呼んで」
「けいすけ…?え…下の名前?」
篠原が驚いた顔をした。
下の名前で呼ぶのそんなに変か?
「そうだけど…嫌か?」
そう聞くと、篠原は首を横にぶんぶんと振った。
「呼ぶ…恵介」
「お…おぅ」
やっべぇ…
これじゃ、俺の心臓がもたねーよ。
「恵介?あの…勉強」
「あぁ…じゃ、こっち」
俺は、篠原を部屋に入れた。