十人十色-それぞれの恋- 短編集




「え…お前何言ってんの?お前は、鈴木先生が好きなんじゃないのか?」




「……ごめん、嘘」




篠原はそういうと、ゆっくり離れた。




嘘って…何?




「ちょ…話がみえないんだけど、どういうこと?」




「鈴木先生のこと、本当は好きじゃない」




篠原が言ったことはこうだった。




本当は、鈴木先生が好きなんじゃなくて俺が好きなんだと。




嘘をついたのは、どうしても先生に教えて欲しかったから。




鈴木先生のことを好きと言えば、教えてくれるだろう。




そう、思ったらしい。




「な…お前」




「ごめん…嘘ついて」








< 109 / 119 >

この作品をシェア

pagetop