十人十色-それぞれの恋- 短編集
「え…お前何言ってんの?お前は、鈴木先生が好きなんじゃないのか?」
「……ごめん、嘘」
篠原はそういうと、ゆっくり離れた。
嘘って…何?
「ちょ…話がみえないんだけど、どういうこと?」
「鈴木先生のこと、本当は好きじゃない」
篠原が言ったことはこうだった。
本当は、鈴木先生が好きなんじゃなくて俺が好きなんだと。
嘘をついたのは、どうしても先生に教えて欲しかったから。
鈴木先生のことを好きと言えば、教えてくれるだろう。
そう、思ったらしい。
「な…お前」
「ごめん…嘘ついて」