十人十色-それぞれの恋- 短編集
「何で逃げるの?」
「逃げてないよ、ごめん行かなきゃ」
翔くんの手を振り払って歩きだした。
これでいい。
これでいいんだ。
辛いけど、悲しいけど、こうするしかないんだ。
じゃないと、言ってはいけない言葉をいいそうになるから。
「好き!!」
そう好きって…ってえ??
「俺、先生が好き!!」
振り返ろうと思ったら、翔くんに抱きしめられた。
「先生…ダメだって分かってるけど、俺と付き合って」
「うん」
「ありがとう…って、え???今、うんって言った?」