十人十色-それぞれの恋- 短編集
「静花!!」
奏太が私の名前を叫んだ。
私は無視した。
そして、立ち上がって逃げようとしたとき…腕を掴まれた。
「待てよ!!話を聞けよ!」
「いやだ!!言い訳なんか聞きたくない!!どうせ利用してただけなんでしょ?もう、私と別れるんでしょ?」
「別れねーよ!!」
奏太の言葉にビックリして、思わず顔を上げた。
奏太は優しく微笑むと、キスをしてきた。
「やめてよ!こんだけ利用したのに、まだ利用するつもり?いいかげんにしてよ!!」
「そうじゃねーよ!!!たしかに、始めは美香に近づくために静花と付き合った。でもな、俺…付き合っていくうちにどんどん静花を好きになった」
「嘘よ…嘘だ!!さっき、美香が好きって言ったじゃない!!」
「たしかに言ったけど、あれには続きがあるんだよ。ちゃんと聞いて」
聞きたくないよ…