十人十色-それぞれの恋- 短編集
でも…可愛いんだもん。
私なんかより、ずっとずっとその女の子は可愛い。
だから、不安なの…
だから嫉妬しちゃうの。
涙が出そうになったから、その場を離れた。
とぼとぼ歩いていると、誰かに腕を掴まれた。
「麻子?どうしたんだよ…急にいなくなったからビックリした」
私は俯いたまま、裕太の顔を見ようとはしなかった。
だって、泣いてるとこ見られたくないし。
「麻子?こっち向けよ」
「無理」
「何で?いいからこっち向けって」
無理やり、顔を上げられた。