十人十色-それぞれの恋- 短編集
卒業式が無事終わり、皆帰っていく。
私は残り、ずっと窓から外を見ていた。
この景色も今日で最後……もう見れないんだ。
そう思っていると、突然ドアが開いた。
航平だった。
「お前何してんの?探したんだけど」
「ごめん…最後だから目に焼き付けようと思って」
「そっか…もう、ここに来ることないもんな」
「うん。寂しいな……」
航平が歩いて私の隣に来た。
こうやって、制服で一緒に並ぶのも最後。