十人十色-それぞれの恋- 短編集
「あ…うん。えっと…」
今までとは明らかに雰囲気が違くて、言葉が出てこなかった。
中宮を怒らせてしまった。
「…ごめん、じゃ帰ろう」
中宮の車に乗る。
車の中もずっと沈黙で、悲しかった。
もしも私があの時あんなことを言わなければ、仲良く話せてたのに。
今更後悔したって遅いよね。
私は、あの時に気づいたんだ。
中宮が好きなんだと…
「着いたよ。じゃあね、おやすみ」
それだけ言うと、中宮は帰っていった。
寂しいって、初めて感じた。
もっともっと話したいって。
いますぐ会いたいって。
初めて思ったんだよ?…中宮。