十人十色-それぞれの恋- 短編集
あれから、中宮は消えた。
電話も通じなくて、会いにも来てくれなくて…
行方不明。
寂しくて、苦しくて、会いたくて…
私はそんな気持ちを消すように、一生懸命仕事をした。
「真実ちゃん…最近何かあった?笑顔が硬いよ?」
「…美優ちゃん。大丈夫、何もないよ」
美優ちゃんというのは、カメラマンさんのこと。
美優ちゃんに撮ってもらうことが多いから、仲良しなんだ。
「そう?何かあったら言ってね」
「ありがと…」
それからまた撮影を続けて、2時間後に終わった。
「お疲れ、真実ちゃん」
「お疲れ~じゃあね、美優ちゃん!」
笑顔でそういって、足早に楽屋に戻り着替える。
今日は、マネージャーもいないし一人だ。