十人十色-それぞれの恋- 短編集




あれから、中宮は消えた。



電話も通じなくて、会いにも来てくれなくて…



行方不明。



寂しくて、苦しくて、会いたくて…



私はそんな気持ちを消すように、一生懸命仕事をした。



「真実ちゃん…最近何かあった?笑顔が硬いよ?」



「…美優ちゃん。大丈夫、何もないよ」



美優ちゃんというのは、カメラマンさんのこと。



美優ちゃんに撮ってもらうことが多いから、仲良しなんだ。



「そう?何かあったら言ってね」



「ありがと…」



それからまた撮影を続けて、2時間後に終わった。



「お疲れ、真実ちゃん」



「お疲れ~じゃあね、美優ちゃん!」



笑顔でそういって、足早に楽屋に戻り着替える。



今日は、マネージャーもいないし一人だ。



< 70 / 119 >

この作品をシェア

pagetop