十人十色-それぞれの恋- 短編集
「柚羅ーーー危ない!!」
他の女子の先輩の声が聞こえてその方向に顔を向けると、柚羅先輩に向かってボールが飛んできていた。
俺は危ない!と思って先輩を抱きしめた。
ゴン!!
ボールは見事、俺の背中に当たった。
はぁ…良かった、先輩に当たらなくて。
俺はゆっくりと体を離し、先輩を見た。
「…愁、大丈夫?私のせいでごめん!!背中は平気?」
「大丈夫だよ先輩。背中もなんてこと…」
ボールを取ろうとしゃがみ込んだとき、ピキッと痛みが走った。
「大丈夫じゃないじゃん…アホ!!大丈夫じゃないなら素直にそういいなさい!全く…ほら、保健室行くよ!!」
「大丈夫だって…心配しすぎ」
「大丈夫じゃない!!言うこと聞きなさい!!じゃ皆、私は愁を保健室に連れて行くから練習してて!」