十人十色-それぞれの恋- 短編集
「なー柚羅。今日も貸して!」
「ごめん…今日は無理なの。もうないの」
「は?」
ニコニコしていた部長の顔が急に怖くなった。
先輩はその顔を見て、目をギュッと瞑っていた。
バシン!!
部長の手が、先輩の頬を叩く。
「お前は俺の言うこと聞けないわけ?」
「ごめん…ごめん…でも…」
「でもじゃねーんだよ」
部長が手を高くあげた。
また先輩がぶたれる!!
そう思った俺はドアを開けて、先輩の前に立った。