十人十色-それぞれの恋- 短編集





「愁…何してんだ、どけ」




一瞬驚いた顔をした部長が、すぐ怖い顔になって言ってきた。




けど、俺はどかなかった。




先輩が、柚羅がぶたれてるのにどくなんて出来ない。




「愁…私は大丈夫だから、早く帰りな」




震えた声で言う柚羅。




そんな震えた声で言われたら、帰れるわけねーだろ。




ま、元々帰るつもりないけど。




「柚羅、強がんなくていいから」




「でも…」




「何ブツブツ言ってんだ?あー?じゃあ、愁からでいーや。金貸して」




金?そーいうことか、柚羅から金取ってたのか。




最低な奴だな。
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