私、海が見たい

・・・・  電話  ・・・・


事務所にある黒電話。

中村は、電話はあまり好きじゃないから、
いつも居る所には、電話を置いていない。

事務所に入る中村。

電話は、まだ鳴っている。

いつから、鳴っているのだろうか。

鳴り止む様子は無い。

中村が、電話の前に立っても、
まだ、鳴り続けている。

時計を見ると、すでに11時を回っていた。

普段は、夜遅い電話は、無視する中村だが、
今日はいろんな事があったせいか、
なぜか、電話をとってしまった。

こんな時に誰なんだという怒りを込めて、
受話器を取り上げる。

「もしもし」


「私です」 


忘れようとした、恵子の声がした。

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