私、海が見たい
麻衣が、携帯を振りながら、
「へへっ、実は、携帯でサイトに行って、
調べたんだ」
「だけど、こんなの、
憶えられないよねー」
「花言葉なんてのは、
お母さんの時代の話じゃない?」
「だよねー。昔の人ならともかく、
今は直に告った方が早いじゃん」
「じゃあ、京子は昔の人?」
「ハハハ、おくゆかしー」
「ねえ、綾は、さくら草、誰に送る?」
「えっとー、さくら草は・・・、
初恋だったよね。それは、ヒ・ミ・ツ」
「なによ、もう、言いなさいよ」
「じゃあカーネーションは?」
「それともベゴニアかな?」
「えー、そんなの、いないわよ」
「また、またぁ、
おいっ、正直に白状しなっ」
三人の笑い声。
商店街の外れの角にさしかかると、
「じゃ綾、また明日ねー」
「バイバイ」
二人、悪戯っぽい笑顔で手を振った後、
角を曲がって、帰って行った。