私、海が見たい

カーステレオから流れる曲は、
ラブ・ソングに、変っていた。

「その代わり、考えても答えが出ない時は、
 すぐ我慢するほうを選んじゃうんだよね。
 それで、みんな
 不安になったりするんだろうな。

 君は友達のことは疑わないだろう?
 なのに、好きな人のこととなると、
 違ってくるんだ。
 不思議だよね。

 その辺のこと、わかってやれよな」


「でも、まだ、付き合ってもいないんだよ」


「あっ、そうか。
 じゃあ、一歩踏み出そうよ。
 まず、一歩。ねっ。
 でないと、何も始まらないだろう?

 断られたっていいじゃないか。

 まっ、一応、君の恋が、
 うまく行くことを
 祈っていてあげるからね」


「どうも、あ・り・が・と」 


二人、顔を見合わせて、笑った。


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