私、海が見たい

まじめな顔になって綾が、

「おじさん、お母さんのこと………」


「ああ、今でも好きだよ。
 でも、俺は、俺の家族のほうが、
 もっと好きなんだ。
 だから俺も、俺の家族を
 泣かせるようなことはしないよ」 


綾は、中村を見て、微笑む。

「恵ちゃんのことは、
 気にはなっていたんだ。
 苦労してるんじゃないかなって。

 だけど、俺には、
 どうすることもできないだろう。

 でも、君たちがいるから、安心だよ。
 君たちが、
 お母さんの支えになってやれよな」


綾、ゆっくりうなづく。

「みんな、何かを背負って、
 生きているんだからさぁ」 

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