私、海が見たい

居間で、綾は椅子に深く腰掛けている。

「久美子さん。
 私、明日帰ることにしましたから」


「あら、そうなの?
 じゃ、お母さんに連絡してもいいのね」


「ええ」


「じゃ、電話、かけるわよ。
 いいわねっ?」


「はいっ」


「あら、素直ね」


久美子は、恵子に電話する。

「もしもし、恵ちゃん。
 久美子だけど。元気ー?」


「あっ、久美ちゃん、
 綾、どうしてるの?
 それに、元気って。昨日………」


「えっ、あっ、綾ちゃんね、
 明日帰るって言ってるの。
 どうする?」


「うん。お父さんに話したらね、
 すぐに迎えに行けと言われたの。
 だから、明日一番で、
 そちらに行こうと思っていたの」


「あら、そうなの?
 それじゃあ、ちょうどいいわね。
 じゃぁ、待ってるから、ねっ」


「あっ、亜季も一緒に連れて行くから。
 ……久美ちゃん、ありがとう」


「いいえ。どういたしまして。
 それじゃ、明日。ねっ」


「じゃあ、あした」

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