私、海が見たい
** 日曜日 **
次の日、日曜日。
駅の入口に、久美子、綾が並んで立ち、
その後ろに中村が立っていた。
「綾ちゃん、ちゃんとお母さんに
謝まるのよ」
「はい」
「お母さん、どれだけ心配したことか」
「まあ、いいじゃないか。
別に、何もなかったんだから」
「もう、中村君は、気楽でいいわね」
中村が、車のキーホルダーを
ガチャガチャさせながら、
「綾ちゃん、昨日の話は、
お母さんにはナイショなっ」
「ええ、わかってる」
「何よ。昨日の話って?」
久美子が訊くと、綾は、振り返り、
中村を見上げ、いたずらっぽく微笑む。
「いいえ、ナイショなの。ねっ」
「あら、いやだ…。知りたいわぁ」