私、海が見たい

そう言いながら半回転して、
再びあたりを見回した時、
中村を見つけて、驚く恵子。

ゆっくり起き上がりながら、
恵子を見つめる中村。

中村を見つめる恵子。

ゆっくりうなづく中村。

ゆっくりうなづく恵子。

手を抜いて綾を抱きしめる恵子。

恵子の目にも涙が。

震える声で、恵子は、

「みんな、心配したのよ」


「ごめんなさい。
 ごめんなさい。
 私、お母さんの子供で良かったわ」


恵子はうなづきながら、綾を強く抱きしめた

恵子は綾のほほを両手ではさみ、
親指で、綾の涙を拭いてやる。

そして、ハンカチを出して、自分の涙を拭き
綾にハンカチを渡し、

「さあ、もう、涙を拭きなさい。
 子供じゃないんだから」


「ええ私、もう子供なんかじゃないわ」


そう言って振り返り、
中村のほうを笑顔で見る綾。

不思議そうに綾と中村を見る恵子。

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