私、海が見たい
二人の想い出は、今、
綺麗なガラス・ケースの中に、収められた。
今まで、もやもやとしていた感情が、
霧が晴れたように、いとおしい想い出へと、
姿を変えたのだった。
二人は、互いの幸せを、
願わずにはいられなかった。
中村の車が走り去って行く。
青空が広がる。
電車に揺られながら上を見上げて笑顔の恵子
電車は、海岸寺の横を、走りぬけて行く。
その向うには、穏やかな
コバルト・ブルーの海が、広がっていた。