私、海が見たい

綾は、部屋に入り、
バタンと力一杯ドアを閉めると、
ベッドに腰掛けた。

ベッドの上に座り、
膝を抱えて、考え事をする綾。


暗い中、
パソコンの前で泣いている母の後ろ姿が、
浮かぶ。

そして、明るい照明の下、
奥から出てきた母の姿が、重なる。


綾は泣いている恵子の姿を見たのは
初めてだった。

つぶやく綾。


「お母さん、泣いてた……」


何も考えられず、じっと遠くを見つめる綾。

暗い中、
パソコンの前で泣いている母の後ろ姿と、
明るい照明の下、奥から出てきた母の姿が、
交互に、何度も浮かんできた。



恵子の姿が、頭から離れない。

綾は、何も考えられず、
じっと遠くを見つめていた。


< 39 / 171 >

この作品をシェア

pagetop