私、海が見たい
綾は、部屋に入り、
バタンと力一杯ドアを閉めると、
ベッドに腰掛けた。
ベッドの上に座り、
膝を抱えて、考え事をする綾。
暗い中、
パソコンの前で泣いている母の後ろ姿が、
浮かぶ。
そして、明るい照明の下、
奥から出てきた母の姿が、重なる。
綾は泣いている恵子の姿を見たのは
初めてだった。
つぶやく綾。
「お母さん、泣いてた……」
何も考えられず、じっと遠くを見つめる綾。
暗い中、
パソコンの前で泣いている母の後ろ姿と、
明るい照明の下、奥から出てきた母の姿が、
交互に、何度も浮かんできた。
恵子の姿が、頭から離れない。
綾は、何も考えられず、
じっと遠くを見つめていた。