私、海が見たい
---- 学校 ----
高校の校門。
皆が登校して来る。
聡が校門を入って行く。
綾も、その後ろから、続いて入って行った。
綾のクラスは、2階にあった。
校舎に入り、教室へと続く階段を上りながら
ふと上を見ると、松葉杖をついた雄太が、
苦労しながら、上っている。
雄太の横を、皆、足早に通り過ぎてゆく。
しかし聡は、雄太のすぐ後ろを、
ゆっくりと上っていた。
綾は、それを踊り場に立ち止まって、
見ていた。
別に、雄太が心配だった訳ではなく、
そのまま行くと、聡を追い越して
しまいそうだったからである。