私、海が見たい


2人は、港の堤防へやって来た。

大勢の人が、花火を観に、集まっている。

ここが、一番のスポットのようだ。

二人手をつないで、花火を見ている。

恵子は、お面を団扇代わりにして扇いでいた

周りの人も皆、上を見ている。

大きな花火が上る。

幸せそうな笑顔の二人の顔が、
花火で緑に染まる。

恵子が、


「やだ。私の手のひら、
 汗で、ベタベタになってる」


そう言って、手を離す。


「ええやん」 


中村はまた恵子の手を取り、握りなおした。

また、大きな花火が上る。


上を向いた二人の顔が、花火で赤く染まった

< 56 / 171 >

この作品をシェア

pagetop