私、海が見たい

襖の閉まる音。

中村は、大きく息を吐くと、
足を崩し、あぐらをかいた。

恵子は中村の横に来て座り、
力の無い笑顔で話す。

「今日は、ごめんなさいね。こんな、
 裁判みたいなことしちゃって」


「いや、ええんや。これで恵ちゃんの
 気持ちもはっきりしたし、
 俺もうれしいわ」


中村は喜びで一杯になり、
恵子の肩を抱き引き寄せる。

しかし、恵子は体を固くし、
黙って下を向くだけだった。

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