私、海が見たい
---- 体育館 ----
アリーナでは、聡たちが、
バスケットの練習をしていた。
コーチの大きな声が、
体育館全体に、響き渡る。
「パスだ。パス」・・・・・・
「シュート」・・・・・・・
「そのあと」・・・・・・
「ああ、もう」
横で、膝に手をついてコートを見ている聡に
「おいっ。集合だ」
「はいっ」
聡は、背筋を伸ばし、大声で
「シューゴー」
「はいっ」
全員、コーチの周りに走って集まる。
コーチが、大きな身振りで、
怒ったような大声で、
「何でだよ。
ディフェンスの事考えてたら、
そんな所に、パス出来ないだろう?
もっと、相手の立場で考えろよ。
そうすれば、どこへパスすればいいか
わかるだろう?
自分の都合で動いちゃダメなんだよぉ
それから、弘幸!」
不安そうに目を上げた、弘幸の顔に向かって
「お前、味方の事を考えずに
入ってゆくからジャマをするんだよ」
容赦ない、コーチの怒声が響く。