私、海が見たい


---- 体育館 ----



アリーナでは、聡たちが、
バスケットの練習をしていた。

コーチの大きな声が、
体育館全体に、響き渡る。


「パスだ。パス」・・・・・・
「シュート」・・・・・・・
「そのあと」・・・・・・
「ああ、もう」


横で、膝に手をついてコートを見ている聡に


「おいっ。集合だ」


「はいっ」


聡は、背筋を伸ばし、大声で


「シューゴー」


「はいっ」


全員、コーチの周りに走って集まる。

コーチが、大きな身振りで、
怒ったような大声で、


「何でだよ。
 ディフェンスの事考えてたら、
 そんな所に、パス出来ないだろう?
 もっと、相手の立場で考えろよ。
 そうすれば、どこへパスすればいいか
 わかるだろう?
 自分の都合で動いちゃダメなんだよぉ

 それから、弘幸!」


不安そうに目を上げた、弘幸の顔に向かって


「お前、味方の事を考えずに
 入ってゆくからジャマをするんだよ」


容赦ない、コーチの怒声が響く。
< 9 / 171 >

この作品をシェア

pagetop