私、海が見たい
しばらくして、
「でもね、お母さんは、
私より姉さんのほうが、かわいいみたい」
「ふーん。そう思うのかい?
でも、それはしかたがないだろう。
君の姉さんは、手がかかるんだから。
それともそれは、君が
全く愛されてないと言うことなのかい?
あるいは、虐待でも
されていると言うのかい?」
「そんなことはないけど……。
でも、お母さんは、姉さんのこととなると
必死になるけど、
私達はいつもほったらかしなのよね」
目を足元の波に移して、寂しそうにつぶやく
「そうかい?でもそれは、
君がそう思ってるだけなんだろう?」
後ろで砂浜にしゃがみこみ、
中村は、綾を呼ぶ。
「ちょっとこっちに来てごらん」