【いちご塾】
楓講師 【第一回課題:秋の夕暮れ】

゚+。//゚兄弟仁義。//゚+。

『にぃチャン、オレ 太ったかなぁ?』
『おぅ。そうだな‥太ったな!』
『でも、にぃチャンには、負けるよ!にぃチャンは 横綱みたいだもン』
『あはは。横綱かぁ』


『あれっ?にぃチャン、何か変だよ‥イタッ、頭が――』
『おいっ!どうした? だぃ‥んぐッ、ぃてて〜痛てえ―――!』



「仁(ジン)兄ちゃん、俺 こんなに 太いの!」
「ほらッ見ろよ!義(ヨシ)より 俺の方が すげぇよ!太くて重い!横綱だな!!」
「すっげー!本当だ」
「義、これを洗って 来ようぜ!」
「うん!まってぇー」


『ぉぃっ‥おとうと、大丈夫か?』『にぃチャン‥』
彼等は、冷たい川の水で
泥衣を脱ぎ、鮮やかな赤紫の衣に着替えた。


「おーい!!焼き芋が出来たぞー!」
「はぁーい!!」
二人は競って 走って行った。


『にぃチャンが…キラキラしてる‥』『お前も…キラキラだ‥』
西の空から 茜色の光線が、濡れた衣の水滴に 反射し、所々 赤みを深めた紫色に輝いている…。

『おッぃ‥少し寒いな‥』『うん‥寒いね、にぃチャン…』
ザワザワと、木立とおしゃべりしていた秋風が、二枚の木の葉を ふわり‥と、彼等の体に被せた…。



焼き芋を 頬張る兄弟の姿が、夕闇に包まれ『彼等』の色に染まっていた。
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