勇者は僧侶のなんなのさ
「あ、シサ」
夜に教会へ行ってシサを呼び出した。
「一命は取り留めたってさ」
先程使者が来て、ミユの容態を教えてくれたのだ。
「それは良かった」
「うん。だけど、処置は良くないって言われちゃった」
シサは理解が出来ないようで、首を傾げた。
「不衛生な手を口に入れるなんて! ってどなられたよ」
最近、周りの人間にばっちい人間だと思われている気がする。
だいたい、あの状況で手を洗っていられるはずが無い。
人命救助したんだから、いたわってくれても良いだろうに。
「気にしない方が良い」
「気にはしていないよ」
「やっぱり」
そういって、シサは半開きにしていたドアを全開にした。
「ここで話すのは寒い。中に入る?」
「え、入って良いの?」
確か、教会の寮は男子禁制とまではいかないまでも、男性を嫌悪する風潮があったはず。
「構わない。フェイがうまくやってばれなければ、だけど」
言外に、「うまくやらなければ半殺しにされる」という意味が隠されている気がして仕方ない。
だが、教会の寮に入るなんてなかなか出来ないことだ。
「じゃ、お言葉に甘えて」