勇者は僧侶のなんなのさ
急いで中に入ると、シサが音を立てないようにドアを閉めた。


中は天井からシャンデリアが吊されているのに、壁に取り付けられた燭台の蝋燭だけが明かりとなっていて、薄暗い。


夜だから、ということだろうか。


壁には、聖書のワンシーンだと思われる絵画がかけられている。


絵画が蝋燭の明かりでぼんやりと揺らめいていて、少し不気味だ。


「この絨毯、フカフカだね」


廊下に敷かれた赤い絨毯。


ギルドにこんな豪華な絨毯は無い。


「教会はお金がある」


「……嫌な表現だね」


「金づるが多い」


それだけは言ってはいけないだろう。


「……まぁ、いいや。シサの部屋はどこ?」


「ここ」


シサは部屋の前に立つと、ドアを開けた。


中はまさに質素と言った感じ。


壁には本棚が三つ。


そのすべてに本がぎっしり。


後は机とベッドがあるくらい。


掃除はしっかりとしているようで、清潔感がある。


「殺風景だね」


「部屋に物をおきたくない」


「なるほど……」


でも、一体どこに服や下着をしまっているのだろうか。


そういえば、シサは司祭の白いローブをいつもきている。


あれは支給品か何かなのだろうか。


しかし、さすがに下着が支給される事は無いだろう。


「まさか……」
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