勇者は僧侶のなんなのさ
次の日の朝、布団から出るのが億劫だった。


昨日の今日だけに、司祭達が血眼で町を捜索しているかもしれない。


また、もう顔がばれていて、ギルドや食堂等を張り込みされている可能性もある。


「そんな状況なんだから、ほっといてよ」


「そうはいかない。ミユの所へいかないと」


シサはベットに腰かけている。


ついさっき勝手に鍵を開けて、入ってきた。


合い鍵がある訳でないし、腕力でこじ開けて入った、訳でもない。


アンロックという、鍵を開ける便利な魔法があるのだ。


アンロックを防御する魔法もあるのだが、高価だし必要無いと思っていた。


つけておけばよかったと、後悔している。


「今日は外に出ない。昨日布団に入った時決めたんだから」


布団を頭まで引き上げる。


「時間が無い。はやく」


「無理。パートナーに裏切られたんだ。何を信じて戦うの?」


シサがしばし黙る。


「ヘソ曲げた?」


「ブチ切れてる」


「…………仕方ない」


シサの声。


打たれる、そう思って体に力を込めた。


しかし、感じたのは随分柔らかい衝撃。


効果音にすれば、「ムニっ」だ。
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