勇者は僧侶のなんなのさ
「どんな方法なの?」


それは、とシサが言いかけた時、いきなり上から爆発音が聞こえた。


直ぐにシサは反応して、コップを置く。


「フェイ!」


「ゴメン! 先行くよ!」


足の遅いシサを置いて二階へ行くと、予想通りミュの部屋から煙が出ていた。


中に入ろうと扉に手をかけたが、中から鍵がかけられている。


事は一刻を争うのに。


「てい」


前蹴りで扉をぶっ飛ばした。


「あ、中の人が扉に潰された」


追いついたシサの一言。


「え、嘘だよね?」


「嘘じゃなくて冗談。行くよ」


シサは中に入って行った。


呆気に取られたが、直ぐに気を取り直して中へ入る。


中は窓が突き破られ、物があちこちに散乱していた。


しかし、目当てのミュはまだベッドの上にいる。


小さくなって震えているところを見ると、まだ生きているようだ。


ベッドの回りには警備員が三人倒れていて、生死は定かでない。


「フェイさん!」


若い警備員の声。


声がした方を見ると、警備員がマスクをした男と対峙していた。


マスクの男は無傷だが、警備員は至る所から血を流している。
< 34 / 78 >

この作品をシェア

pagetop