勇者は僧侶のなんなのさ
瀕死の状態だ。


「応援お願いします」


「了解です」


いつものように、歩いて相手へ近づく。


マスクの男は冷静にハンドガンを取り出し、誰もいない壁に向けて威嚇射撃を行った。


普通の相手なら面食らって動転するのに。


今回は一筋縄ではいかなさそうである。


しかし、それでも歩みを止める程ではない。


「止まれ」


マスクの男の忠告。


「嫌です」


そう答えたら、なんの躊躇いもなしに発砲してきた。


打ち出された銃弾は三発。


後ろにシサやミュがいるので、弾を全部手で受け止めた。


特殊なグローブをつけているから出来る荒業で、それでもかなり痛い。


「良い子の皆は真似しないように」


シサが言った。


「出来ないとは思うけどね」


まず、他人に発砲される機会が良い子には無いだろう。


とにかく、こんな危ない仕事にはつかないことをお勧めする。


「銃撃は無意味です。抵抗は止めてください」


マスクの男に歩み寄る。


「危ない!」


シサが悲鳴を上げる。


同時に地面へ倒れ込んだ。


シサの悲鳴もだが、突然殺気を感じたからである。
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