勇者は僧侶のなんなのさ
「僕だって、参考人にそんなことしないよ」


「いくらチキンのフェイとは言え、男と女は分からないもの」


ここまで『迷える子羊(笑)』のアイデンティティをボロボロにする僧侶が他の世界にいますか?


いないとしたら、なんと幸運な事だろう。


少し不運をもらってはくれまいか?


「一つ良い考えがある」


「どんな?」


まさか、男性機能を欠損させる、ではあるまいな?


それはまとめて却下だ。


「フェイの家に私も泊まる」


予想の斜め上を行っている、さすがシサ。


ランスに至っては、口を半開きにしてシサの顔をぽかんと見つめている。


「軟弱男の典型とも言えるフェイなら、私がいれば手を出さない」


「いや、流石の僕もハーレムになれば狼だよ」


「なにか言った?」


「いや、何も」


だから、そうやって見つめるな。


素直におしゃべりできなくなるから。


「…………それなら私も行く」


シサと二人で勢いよくランスに顔を向けた。


「も、問題無いだろ」


ランスは何故か腰に手を当てて(無い)胸を張りながら言った。


シサと顔を見合わせる。


結局、否定材料も無かったので、ランスも来ることになった。
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