勇者は僧侶のなんなのさ
「気がつくのがはやいのであります」


声は天井から聞こえ、一枚板が外されると人が降りてきた。


降りてきたのはヒカル、今日はデニムのショートパンツにタンクトップというなかなかに露出が多い出で立ち。


「フェイ、顔がやらしいぞ」


ランスに言われなくても気づいていたが、言われて直せるくらいなら苦労はない。


ランスの冷たい視線を感じながら、一歩前に出る。


「なんのようですか? ここにミュは残念ながらいませんよ」


「見ればわかるであります」


「そりゃそうだ、何をいっているのだ、フェイ?」


「ランスは黙っててよ、もう」


話の腰を折られたが、咳ばらいをして体勢を立て直す。


「この前言われた通り、ミュを前よりマシな待遇で保護しています。あなた方も歩みよりを見せて、bbの情報を渡してくれても良いのではないですか?」


「渡すと言っても、我々は書類を持ち歩かないであります」


ヒカルは窓際に腰かけ、足を組む。


「じゃ、質問に答えてください、良いですね」


「内容によりますが、了解であります」


後ろにいたランスが近寄り、背中をちょんと突いた。


ランスの無言の呼び掛けに頷きながら一歩下がり、ランスの横に並ぶ。
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