勇者は僧侶のなんなのさ
「気をつけろ、何かがおかしい」


「そうだね、意図が全く読めない」


敵の本拠地へ襲撃をかけたということは、それ相応のメリットがあるはず。


しかし何を目論んで来ているのか、皆目見当がつかない。


「ひそひそ話は失礼であります」


不服そうに拗ねるヒカル、不覚な事に少し萌えてしまった。


「申し訳なかった、それでは最初の質問。なんでこのギルドへ来たんですか?」


「もちろん、ミュの待遇を確かめる為であります。ちゃんと約束を守ってくれていたようで、安心であります」


「それだけ?」


「はい」


ヒカルは頷くが、どう考えても嘘だ。


それだけの為にこれほどのリスクを冒すはずがない、もっと別な所に目的がある。


そして窓に座っているという事は、すぐにでも逃げられる体勢を保持しているという事だ。


ヒカルがどれほどの身体能力を有しているのかは謎だが、こちらと一戦を交える構えでは無い。


その様子からは何かしらの目的があるとは思えず、あったとしてももう遂行したようでもある。


となれば、こちらの会話を盗み聞く事が目的だったのでは無いだろうか。


これならもうばれてしまった時点で任務は終わりになる。
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