勇者は僧侶のなんなのさ
#2 勇者と愉快なお仲間さ
「ただいまー」
ここはギルドの二階にある、個室。
個室とは言っても、あるのは机と椅子のみ。
使用する頻度も時間も少ないので、経費がかからないようにしてあるらしい。
まったく、この国は密偵をなんだと思っているのか。
小一時間問い詰めたい。
「おかえり」
椅子に座って本を読んだまま、シサが答えた。
金髪の頭の上に、司祭専用のティアラを乗っけている。
「今日は教会の仕事があったの?」
「いや、気分。今日は休む日だから」
「……そう」
だったら、人身売買の防止を手伝ってくれれば良いのに。
そんな怨みが篭った目を向けてみたが、シサは気が付かず、何も反応を見せない。
「…………はぁ」
思わずため息が出た。
「ため息をつくと運が逃げるわよ。吸いなさい。」
真面目な顔で本を読みながらそんな事を言うシサ。
釈然としないものを感じるが、とりあえず深呼吸してみた。
何となく肩の力が抜けたような気がするが、運が戻ってきたかは定かでない。
「それで、人身売買はどうなった?」
「防いだよ。ただ、ちょっと根が深そう」
シサはパタンと本を閉じて、赤い瞳をこちらに向けた。
ここはギルドの二階にある、個室。
個室とは言っても、あるのは机と椅子のみ。
使用する頻度も時間も少ないので、経費がかからないようにしてあるらしい。
まったく、この国は密偵をなんだと思っているのか。
小一時間問い詰めたい。
「おかえり」
椅子に座って本を読んだまま、シサが答えた。
金髪の頭の上に、司祭専用のティアラを乗っけている。
「今日は教会の仕事があったの?」
「いや、気分。今日は休む日だから」
「……そう」
だったら、人身売買の防止を手伝ってくれれば良いのに。
そんな怨みが篭った目を向けてみたが、シサは気が付かず、何も反応を見せない。
「…………はぁ」
思わずため息が出た。
「ため息をつくと運が逃げるわよ。吸いなさい。」
真面目な顔で本を読みながらそんな事を言うシサ。
釈然としないものを感じるが、とりあえず深呼吸してみた。
何となく肩の力が抜けたような気がするが、運が戻ってきたかは定かでない。
「それで、人身売買はどうなった?」
「防いだよ。ただ、ちょっと根が深そう」
シサはパタンと本を閉じて、赤い瞳をこちらに向けた。