咲いても、枯れても2~ソラ色~
第一章 銀心
花水木の色
『ねえ、見て見て』
『何だ?』
勉強中だった拓の傍に行き、手のひらを見せた。
それを見て、拓はにこりと笑った。
桜が別れを告げ、若葉が芽吹く頃。
─────5月。
あっという間に月日は経つ。
平凡な毎日を送っていても。
『ほら、可愛いでしょう?』
手のひらには、四つ葉のクローバーと白詰草が乗る。
『どうしたんだ?四つ葉なんて…よく見つけたな』
『ええ。前に秀くんと一緒に見つけたのよ。可愛いから、未菜ちゃんに頼んで、押し花にしてもらったの』
あの日を、思い出す。
たんぽぽの咲くお庭で、二人で話したこと。
暖かい、春の日に。
白詰草という名を教えてくれた、銀の青年。