咲いても、枯れても2~ソラ色~
鬼灯の少年
─────広い。
とにかく、西条家は広い。
だって、迷ってしまったもの。
ああ、こんなことになるのなら、鈴ちゃんか未菜ちゃんに案内してもらえば良かった!!
「探検してくる」だなんて、簡単に言わなければ…。
『ここどこよ~』
もうその声は、涙声。
人気がないところみたいで、一切、音がしない。
静寂が私を包む。
胸に不安が巣食う。
ふと目をやると、お庭に出られる扉を見つけた。
ガラス戸。
長い桃色のドレスを少し引きずりながら、その扉を目指す。
『こんな長い丈、邪魔なだけなのに…』
足を引っ張るその長い丈に、多少、苛立つ。