咲いても、枯れても2~ソラ色~
谷間の姫百合
『あ、あの、これは…っ』
反射的に、左手を引っ込める。
その鋭い視線が、私の左手と真優くんの口元にあったから。
『何してんだよ』
もう一度、同じフレーズを繰り返す。
彼の纏う銀が、それはもう鋭く突き刺さる。
殺気を帯びて。
『えっと…わ、私が迷って、ここに来て、鬼灯が…真優くんが……』
思考がうまく働かない。
文がめちゃくちゃ。
銀を纏う王子、秀くんが、更に睨みを効かせる。
不機嫌も、ピーク。
もうどうしようもない、と思うと真優くんが口を開いた。
私の前に、すっと立って。